脳梗塞の前兆

脳梗塞、なんだか自分には縁遠い話だなんて思っていませんか? いやいや、これが結構、身近なところに忍び寄ってくる厄介なやつなんです。でも大丈夫。多くの場合、本格的な発作が起こる前に、親切にも(?)「ちょっと、そろそろヤバいかもよ」というサインを送ってくれることがあるんですよ。

この「サイン」、専門的には**一過性脳虚血発作(TIA)**なんて呼ばれています。いわば、脳梗塞の“予告編”みたいなものですね。血の塊(血栓)が一時的に脳の血管に詰まることで症状が出るんですが、しばらくすると血栓が自然に溶けて症状が消えてしまうんです。

だから、「あれ、なんか変だったけど治ったからいっか」なんて油断しがち。でも、この予告編をスルーしちゃうと、近いうちに本編(つまり本格的な脳梗塞)が始まってしまう可能性がグッと高まるんです。だからこそ、この前兆を知っておくことが、めちゃくちゃ大事なんですよ。

これだけは覚えておきたい!脳梗塞の前兆「FAST」

いざという時に慌てないために、覚えやすい合言葉があります。それが**「FAST(ファスト)」**です。

  • F (Face) 顔の麻痺
    • 「イーッ」と口を横に広げた時に、片方の口角が上がらない。
    • 顔の半分が歪んで見える、しびれる。
    • 口から水や食べ物がこぼれやすくなる。
  • A (Arm) 腕の麻痺
    • 両腕を前にまっすぐ伸ばして、手のひらを上に向けたまま10秒キープできますか? どちらか片方の腕が、だらんと下がってきたりしませんか?
    • 急に片方の腕や手に力が入らなくなる。
    • 持っているものをポロっと落としてしまう。
  • S (Speech) 言葉の障害
    • ろれつが回らず、うまく話せない。
    • 簡単な言葉でも、なぜか口の中で言葉がもつれて、舌がうまく回らない感じ。
    • 相手の言っていることが、急に理解できなくなる。

「FAST」以外にもある、見逃したくないサイン

「FAST」は代表的な症状ですが、他にもこんなサインが出ることがあります。

  • 片方の目が見えにくくなる・視野が欠ける: カーテンがかかったように、片方の視界が急に暗くなったり、一部が見えなくなったりする。
  • 激しいめまい・ふらつき: まっすぐ歩けない、立っていられないほどの、グルグル回るようなめまい。
  • 経験したことのない激しい頭痛: よくある頭痛とは明らかに違う、「バットで殴られたような」と表現されるほどの突然の激痛。
  • 片側の手足のしびれ: 急に片方の手足がじんじんと痺れ出す。

大切なのは、これらの症状が**「突然」「片側だけに」**現れることが多いという点です。

もし、ご自身や周りの人にこれらの症状が一つでも現れたら、たとえ数分で症状が消えたとしても、「まあ、大丈夫だろう」なんて楽観視するのは絶対に禁物です。それは、体からの緊急警告サインかもしれません。

迷わず、すぐに救急車を呼ぶか、脳神経外科や神経内科のある病院を受診してくださいね。脳梗塞は時間との勝負。この小さなサインに気づけるかどうかが、その後の人生を大きく左右することだってあるんですから。

Loading

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事