「屋台飯だけで節約」は緩やかな自殺行為。タイ移住の落とし穴、食費をケチる者が支払う「本当の代償」

タイ移住の落とし穴:屋台飯節約が招く「緩やかな自殺」とは?

タイ移住生活において、多くの人が最初に魅了されるものの一つが、安くて美味しい屋台飯(ストリートフード)でしょう。一食40〜60バーツ(約180〜270円)でお腹いっぱいになる手軽さは、年金と貯蓄を切り崩しながら生活する中高齢者にとって、これ以上ない「節約術」に見えるかもしれません。

しかし、その考えは極めて危険です。断言しますが、日常の食事をタイの屋台飯のみに依存する生活は、健康を担保にした危険なギャンブルであり、最終的には「医療費」という形で、節約した金額の何十倍ものツケを支払わされることになります。

これは、あなたのタイでの人生を緩やかに、しかし確実に蝕む「時限爆弾」なのです。

屋台飯に潜む「静かなる殺し屋」。あなたの体を蝕む3つの罠

なぜ屋台飯が危険なのか?それは、美味しさと安さの裏に、中高齢者の身体が耐えられないほどの健康リスクが隠されているからです。

1. 糖質・脂質・塩分の過剰摂取(高すぎる三兄弟)

タイ料理は「甘い、辛い、しょっぱい、酸っぱい」が特徴ですが、屋台飯では特に以下の3つが過剰になりがちです。

  • 糖質(น้ำตาล / Nam tan): 麺類のスープ、炒め物の味付け、そして何より強烈に甘いタイティー(ชาเย็น / Cha Yen)やコーヒー(กาแฟ / Gafae)。知らず知らずのうちに大量の砂糖を摂取しており、糖尿病のリスクを飛躍的に高めます。
  • 脂質(น้ำมัน / Nam man): 揚げ物(ของทอด / Khong thot)はもちろん、炒め物(ผัด / Phat)にも大量の油が使われます。しかも、その油は何度も使い回され、酸化した質の悪い油であるケースが少なくありません。これは高コレステロール、動脈硬化、心疾患へ直結します。
  • 塩分(เกลือ / Kluea): ナンプラー(น้ำปลา / Nam pla)や調味料に含まれる塩分は非常に高い。味の濃いスープを毎日飲み干していれば、高血圧や腎臓病のリスクを着実に育てているのと同じです。

これらの「高すぎる三兄弟」は、自覚症状がないまま静かに血管や内臓を蝕み、ある日突然、心筋梗塞や脳卒中といった形であなたを襲います。

2. 絶対的に不足する「野菜」と「食物繊維」

屋台飯に入っている野菜は、彩り程度の申し訳ない量か、栄養素が抜け落ちるまでクタクタに煮込まれたものがほとんど。新鮮な生野菜や、多様な種類の野菜を摂る機会は皆無に等しいです。

結果として、慢性的なビタミン・ミネラル不足、そして食物繊維不足に陥ります。これは便秘や腸内環境の悪化を招くだけでなく、体の免疫力を低下させ、あらゆる病気にかかりやすい虚弱な身体を作り上げてしまいます。

3. 衛生という名の「ロシアンルーレット」

若い頃は「腹を壊しても一晩寝れば治る」で済んだかもしれません。しかし、加齢と共に免疫力が低下した身体にとって、食中毒は命取りになりかねません。

  • 炎天下に晒される食材: 冷蔵設備のない屋台では、肉や魚介類が常温で放置されていることも。
  • 使い回される洗浄水: 大きなバケツ一杯の水で、一日中食器を洗い回している光景は珍しくありません。
  • 氷や飲料水の質: どこの水で作られた氷か、安全な飲料水を使っているかは、利用者には分かりません。

毎日屋台飯を食べ続けることは、A型肝炎や食中毒のリスクと常に隣り合わせで生活するということです。

「節約」が招く「超高額医療費」という皮肉な結末

ここからが本題です。毎日100バーツの食費を節約したとしましょう。1年で36,500バーツ(約17万円)。10年で365,000バーツ(約170万円)です。

では、あなたが屋台飯生活の結果、糖尿病になり、合併症で人工透析が必要になったら?心筋梗塞で倒れ、緊急手術と入院をしたら?タイの私立病院での医療費は日本の比ではありません。

  • 人工透析: 1回数千バーツ。週に3回なら、月5万バーツ以上。
  • 心臓カテーテル手術: 数十万バーツ。
  • 集中治療室(ICU): 1泊2万バーツ以上。

たった一度の大きな病気で、あなたが10年かけてコツコツ節約したお金など、一瞬で消し飛んでしまうのです。それどころか、リタイアメントビザの維持に必要な80万バーツの預金さえも食い潰し、結果としてタイに滞在し続けることすら不可能になるケースも珍しくありません。

食費をケチることは、将来の自分への「負債の先送り」に他なりません。

生き抜くための提案:自炊こそが最強の「健康投資」

ではどうすればいいのか。答えはシンプルです。

「自炊を基本とし、屋台飯は週2〜3回の『外食』『嗜好品』と位置づける」

幸い、タイの市場(ตลาด / Talat)に行けば、新鮮な野菜や肉、果物が驚くほど安く手に入ります。

  • 蒸す・茹でる: 鶏肉や魚を蒸したり、野菜を茹でたりするだけなら、調理も簡単。栄養素も逃げません。
  • スープを作る: 鶏ガラや豚骨から出汁をとり、たっぷりの野菜を入れたスープは最高の栄養源です。
  • 果物を活用する: 南国の新鮮なフルーツは、ビタミン補給に最適です。

自炊にかかる費用は、屋台飯と大差ないか、やり方次第ではそれ以上に安く抑えることも可能です。なにより、それはあなたの健康、ひいてはタイでの全人生を守るための**「最高の投資」**なのです。

タイ移住の成功は、いかに生活費を切り詰めるかではなく、いかに健康で長く、自立した生活を送れるかにかかっています。目先の数十バーツのために、数百万バーツの価値があるあなたの健康を売り渡してはいけません。

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