前立腺肥大症とは、前立腺が肥大することにより尿道が圧迫されて、排尿障害をきたす病気です。 50歳頃から加齢とともに増加し、50歳代男性では20~30%、80歳以上になると80~90%が前立腺肥大症になるといわれています。
その中で治療を必要とする人は1/4くらいです。 男性ホルモンが活発になると前立腺が肥大しやすくなることが分かっています。
前立腺肥大を放っておくとどうなるか?
前立腺肥大症を放置すると、尿中や前立腺に細菌が繁殖する尿路感染、尿中成分が結石化してしまう膀胱結石など、さまざまな合併症が起こりやすくなります。 また膀胱内に多量の尿が残ることで、尿を生成する腎臓に負担がかかり、腎機能障害を引き起こす可能性があります。
水蒸気による前立腺肥大症の治療
水蒸気治療手術のメリットは何ですか?
尿道から内視鏡を挿入して水蒸気を噴霧するだけの手術なので、体に負担が少ない低侵襲な手術です。
手術時間は約15分と短く、術後2週間後から徐々に効果が認められ、長くても約3ヶ月後には排尿状態の改善が期待できます。
既存の前立腺肥大症に対する温熱療法とくらべ、水蒸気を利用しているため、対流によってムラのない治療効果が実現され、尿道粘膜や性機能温存が可能となりました。
水蒸気治療手術のデメリットは何ですか?
尿道カテーテル留置期間が従来の手術よりも長い場合があります。(留置期間には個人差があります)
また、尿閉で術前から尿道カテーテルを留置している方は、カテーテル抜去が困難な可能性があります。
どのような人に適していますか?
とても低侵襲な(体に負担の少ない)手術なので、下記のような症状の方に適しています。
● 合併症リスクの高い方
● 高齢もしくは術後せん妄リスクの高い方
● 身体機能低下リスクの高い方
● 薬物療法であまり効果が出ない方
● 前立腺重量が30g~80gの方

水蒸気療法とは?
前立腺肥大症の治療は、従来、薬物療法と手術が主流でした。しかし、外科手術は怖い、薬物療法は副作用が心配という方でも安心して受けられる、画期的な治療法が登場しました。さらに、水蒸気療法に関する研究の結果、その有効性と安全性が証明されました。
蒸気による前立腺肥大治療は、2015年にアメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局)に認定され、タイFDAもその使用を承認しました。
水蒸気療法は、内視鏡を尿道から前立腺に挿入し、前立腺の大きさに応じて、内視鏡から摂氏103度の水蒸気を約4-6回噴射して、前立腺内に導入します。1回の水蒸気の噴射時間はわずか9秒で、細胞の隙間に入り込み、細胞を破壊し、自然に死滅させるまでの間、水蒸気が放出されます。その結果、前立腺が小さくなり、狭くなっていた尿道が広がり、尿の通り道が広くなります。わずか10-15分で治療できます。
治療が終わると、尿カテーテル(Foley’s catheter)を挿入します。カテーテルが挿入されている間は、約3-5日間が目安、患者さんは自分で排尿する必要はありません。尿カテーテルを挿入することで、炎症が早く収まり、回復が早くなります。カテーテルを抜いた後は、腫れが残っているため排尿が困難になることがあります。また、術後約4-6週間は排尿時に熱を帯びたり、わずかな出血、また精液に血液が混入することもあります。しかし、これらの症状は通常2週間以内に回復します。そして、そのほとんどが3ヶ月以内にほぼ完全に正常な状態まで回復します。
情報提供者 Dr. Damrongpan Watanachote
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